おはようございます。
奈良県興福寺の貫主である多川俊映さんは、多くのものがマニュアル化されている現状に首をかしげています。料理のレシピに書かれた塩少々について、「具体的な量が示されていないから、どのくらいなのかわからない」という声を聞いたためです。「たとえば、夏の暑い時期であれば、塩分を多めにするのが工夫です。この気持ち多めという感覚が備わった、さじ加減が失われてきている。それがぎすぎすした人間関係につながっているのではないか」と考えています。
社内では、
「妻が祖母から料理を教えてもらうとき、何グラム必要かを尋ねても、だいたいこれぐらいと答えられてわからないと言っていたのを思い出しました。祖母は感覚で覚えているのです。経験を重ね、さじ加減がわかるようになることが大切と感じました」
「人間関係でも、ちょっとした優しさや思いやりが必要だと思います。さまざまな人と接することで、どのように応対すればよいかがわかってきます。経験から得られる人間関係の機微を養いたいと思います」
「マニュアルはあらゆることの基礎になるため大切です。しかし、数値に頼りすぎるあまり、思い切り物事にあたる気持ちが薄れている人もいると聞きます。失敗を繰り返し、そこから学ぶことで自分なりのいい塩梅を知ることができます。仕事や人間関係でも失敗から学んだことを生かしていきたいです」
という意見が出ました。
昔の家庭では、母親が家族の好みや体調を考えて味付けをし、それが「おふくろの味」となっていました。レシピに頼らないさじ加減は、人を思いやる心から生まれます。便利な世の中だからこそ、思いやりの心を大事にし、物事を判断する感覚を養いたいものです。
今日もみんなで「ついてる!ついてる!」