
おはようございます。
宮下奈都さんの小説『羊と鋼の森』に、次のような場面があります。
ピアノ調律師になったばかりの青年が、思うように仕事ができず、悩んでいました。そこで先輩に、「調律師に一番大事なものはなんですか」と尋ねます。努力や才能という人がいるなかで、ある先輩は、「お客さんでしょう」と答えました。
その言葉を聞いて、青年は、お客さまの声に耳を傾けていなかったことに気づきます。それから青年は、お客さまの表情にも気を配り、求められる音はどういうものかを、お客さまの言葉から最大限に引き出すよう努めました。すると徐々に評価を得るようになり、仕事にも自信が持てるようになりました。
社内では、
「仕事がいつもあるということをあたりまえに思うとおごりが生まれ、お客さまがいてこそ仕事ができるというありがたさを忘れてしまいます。作り手の自己満足にならないよう、お客さまの要望と自己の達成感をバランスよく保ちながら、仕事をすることが重要だと思います」
「青年は、どのような志をもって調律師になったのか明らかではないですが、仕事をするうえで基本である『お客さまを大事にする』ということがわかっていないことは、残念に感じました。しかし、調律師になったばかりのころに、そのことに気づくことができてよかったと思います。努力や才能という先輩もいるなかで、『お客さまだ』というアドバイスを聞いて、あらためて先輩のアドバイスの大切さを思い知りました」
「営業担当なので、お客さまと接する機会が多いです。お客さまの要望を聞き出し、それを製造現場にうまく伝えることが重要な役割だと思います。日頃から、お客さまを意識し、社内の人にも意識してもらえるように伝えながら仕事をしています」
という意見が出ました。
仕事をしていると、さまざまな悩みが出てきます。しかし、そのようなときは、「自分は誰のために仕事をしているのか」ということに立ち返ることが大切です。特に、新入社員などは、自分のことにしか意識が向かないことがあり、よく悩むため、上司や先輩は「お客さまを意識し、お客さまが求めるものを追求することで、末長く良いものを生み出すことができる」という、仕事の根本をしっかりと教えるようにしましょう。そうすれば、仕事にも自信を持てるようになるはずです。
今日もみんなで「ついてる!ついてる!」