
おはようございます。
商社で働くAさんは、同僚や後輩に仕事を教えたり、引き継いだりすることが苦手です。「自分でするほうが早いから」と言って他人に任せず、結局全ての仕事を抱え込んで、身動きが取れなくなってしまうのです。
見かねた上司のF課長が、Aさんに言いました。
「君が抱えている仕事のなかから、比較的やりやすいものを後輩に任せろ。任せたら、危なっかしく思っても、ぎりぎりまで我慢して、口を出すんじゃないぞ。それから、君と同じ結果を求めないことだ」。
社内では、
「私も人に仕事を任せるのが苦手なので、Aさんの気持ちがよくわかります。これまでは無理をしても自分で抱え込んでいましたが、それではいけないと反省しました。仕事を人に任せることは、人を育てるためだけではなく、自分の成長にもつながることです。これからは、少しずつ人に任せる仕事を増やしていこうと思います」
「以前、上司に大きなプロジェクトを全て任せてもらったことがあります。『自分は期待されているんだ』と誇らしい気持ちになり、全力で仕事を成し遂げました。そのプロジェクトは会社にとっても重要な仕事であり、まだ経験の浅い自分に仕事を任せるのは、上司にとってかなり勇気のいることだっただろうと思います。しかし、その仕事は自分が大きく成長するきっかけになりました。上司は部下の成長のために、ときには覚悟を持って仕事を任せることが必要です。私も、そんな上司になれるよう努力していきたいです」
「上司に、『人に仕事を任せる勇気』が必要なのと同じように、部下には『仕事を任せられる器量』が求められると思います。普段から努力し、やる気を見せている人には、仕事を任せようという気持ちになります。上司、部下ともに切磋琢磨することで、良い循環が生まれるはずです。お互いが成長できるような組織づくりに努めることも大事だと思いました」
という意見が出ました。
会社にとって、重要なことの1つに人材の育成があります。どんなにたくさんの仕事の実績があっても、人材が育たなければ、会社の将来は閉ざされてしまうでしょう。部下に仕事を任せることは、会社の未来をつくることにもなるのです。
もちろん、仕事を任せても最初からうまくいくわけではありません。任せた部下が失敗して、責任をとらなければならないこともあるでしょう。しかし、任せることによって必ず部下は成長します。仕事を覚えた部下が戦力になれば、上司はより大きな仕事に取り組むことができ、それは組織の成長にもつながります。
後進ため、自分のため、そして会社の未来のために、任せる勇気をもちましょう。
今日もみんなで「ついてる!ついてる!」