おはようございます。
東日本大震災で、身内が被災したMさんから聞いた話です。
Mさんの実家は、宮城県石巻市にありました。震災当日は、3月にも関わらず雪が降り、被災者は寒さに震えて一夜を過ごしました。下水や泥水でずぶ濡れのまま凍死したり、高台まで逃げたものの、その場で命を落としたりした人が大勢いたそうです。Mさんの身内は、津波からは逃げられましたが、薄い防寒具で寒さをしのぎながら、水が引くのを待ちました。
震災後、初めてホッとできた出来事は、自衛隊が用意してくれた風呂に入ったことだそうです。湯船に浸かる被災者の顔は、寒さと汚れから解放されて安堵に満ち、風呂場には笑い声が響きました。
毎日、私たちは風呂に入っていますが、それは蛇口をひねると当然のように水や湯が出てくるからです。今一度、あたりまえに過ごせることのありがたさに感謝しましょう。
社内では、
「毎月11日は、震災に関する記事が掲載されていますが、これまでに読んだなかで最も印象深かったです。それは、実際に身内が被災された人の、生の声が綴られているからだと思います。被災者の本当の苦労が、リアリティをもって迫ってきました。震災から時間が経ち、忘れてしまいがちですが、あらためて大変だった当時のことがわかり、困っている人を思いやる心を思い出しました」
「災害が起こり、水が出なくなったり電気が点かなかったりして初めて、日頃、あたりまえに過ごしていることが、あたりまえでないことに気づきます。毎日、不自由なく暮らせているにもかかわらず、人は不平不満を言ったりします。しかし、震災の記事を読み、今一度、あたりまえに過ごせることのありがたさに感謝することができました」
「人は他の人と比べることで、自分の置かれている状況を確認します。今、被災者を気の毒に思う状況にいたとしても、いつ震災に遭遇して被災者になるかもしれません。被災者を思いやる気持ちを忘れず、今置かれている日常に感謝しながら、生活することが大切だと思います」
という意見が出ました。
時間の経過とともに、人は震災を忘れてしまいます。記憶を風化させないために、被災者は、世の中の人に知ってもらいたいという思いを持っていますが、なかなかそのような機会がないといいます。『月刊朝礼』では、震災の記憶を忘れないために、毎月11日に震災に関する記事を掲載しています。記事を掲載することで、被災者の気持ちを慮るのはもちろんのこと、被災者を救済するために活躍している方々を知っていただき、また普通に暮らせている日常に感謝する心を持つことの大切さを伝えていきたいと考えています。
今日もみんなで「ついてる!ついてる!」